引っ越しの際に困るのが仏壇の取り扱いです。
壊れやすそうな小さな小物がたくさんあるうえに、大きさも重さもあり、どんなふうに運べば良いか悩んでしまいます。普通の家具と同じように運ぶことはできるのでしょうか?
また、実家の取り壊しで仏壇を引き取ることになったり、誰も住まなくなった実家の仏壇を処分したくなったりした際の扱いも、素人にはよいか検討もつきません。

そこで今回は、仏壇の引っ越しから処分の方法までまとめて解説していきます。

仏壇の移動には作法がある

仏壇を引っ越しさせたり処分したりする場合、タンスやテレビのようにただ移動させたり粗大ごみに出したりしてはいけないとされています。

仏壇を設置する際には、入魂や魂入れと呼ばれる開眼供養を行うのが作法です。反対に、仏壇を撤去する際には魂抜きやお根性抜きと呼ばれる閉眼供養が必要です。
引っ越しの際には閉眼供養と開眼供養の両方が、処分の際は閉眼供養を行うことになります。

●供養は僧侶が行う
開眼供養・閉眼供養ともに行うためにはお坊さんに依頼し、お経をあげてもらう必要があります。素人が勝手に行うことはできません。

引っ越しが決まったら1ヶ月ぐらい前までにお寺に連絡しましょう。お盆の時期は忙しくなるため、特に早めの連絡が必要です。

閉眼供養と開眼供養は同じお寺に依頼するのが理想ですが、遠距離引越の場合は難しいです。まずは閉眼供養を依頼するお寺に相談し、開眼供養の依頼先について聞いてみるとよいでしょう。同じ宗派のお寺を紹介してもらえることもあります。

●供養はいつ行う?
引っ越しの場合、閉眼供養と開眼供養は同日に行うのが理想ですが、何かとバタバタする引越当日にそんなことをするのは現実的ではないでしょう。引っ越しに都合が良い日と、お寺の都合がいい日が同じとも限りません。
こちらについてもまずはお寺と相談し、お互いが実施しやすい日程を選びましょう。引越直前になると荷造りなどで人を招きにくくなるため、閉眼供養は1週間ぐらい前までに終わらせておくと楽です。

●供養に必要なもの
閉眼供養で使用するのは香炉立てやろうそくといった仏壇にもともとあるものです。仏花は普段造花を飾っていても、供養の日だけは生花を飾るとより良いです。
お坊さんにお経をあげてもらうことになるため、仏壇の前は片付け、座布団を準備しておきましょう。

開眼供養の場合、慶事用の赤いろうそくやご飯、お供え物(わかめや昆布などの乾物のような海のもの、玖珂物や野菜などの山のもの)が必要となる場合があります。

いずれの供養の場合も、お寺や宗派によって必要なものは変わってくるため、事前にお寺へ確認し準備しておきましょう。

他にも、お坊さんが来たときのためのお茶とお茶菓子、お車代などが必要になることもあります。

●費用の相場
開眼供養と閉眼供養ではお坊さんに「お布施」という形で費用を支払います。
金額は10,000円~30,000円が相場ですが、宗派によって差があります。分からなければ素直に金額を聞いてしまって問題ありません。仏壇の移動経験がある人はそう多くありませんから、知らないのが普通です。

お布施は白い封筒に「お布施」と書いたものか、お布施用の袋に入れて渡します。お坊さんの前で出し入れすることのないように、事前に準備しておいてください。
渡すタイミングは供養が終わった後です。

渡し方にもマナーがあります。直接手渡ししたり、床に置いて渡したりするのは良くないとされています。
ふくさから取り出してふくさの上に置くか、切手盆と呼ばれるお盆の上に乗せて渡すのがマナーです。

●浄土真宗の開眼供養と閉眼供養
浄土真宗では他の宗派と教えが違い、入魂・抜魂の儀式は行いません。開眼供養や閉眼供養も必要ないという考えの人もいます。
ただ、一般には遷座法要・遷仏法要という名称で似たような儀式を行うことが多いようです。

仏壇を運べる引越業者は?

●大手引越し業者なら大抵OK
仏壇の引っ越しは大手なら大抵どこでも引き受けてくれます。

ただ、規模の小さい引越業者や格安の引越業者の中には、仏壇の輸送を嫌がるところも多いです。仏壇は高価で思い入れのある家財となるため、輸送の際には美術品と同じ扱いになります。手間をかけて荷物を運ぶより、数をこなして利益を出すタイプの業者では難しいのです。

仏壇の引越費用は距離や大きさにもよりますが10,000円~20,000円ほどが相場です。
転居を伴わない場合でも、仏壇引越の見積もりは複数の業者に依頼し、見比べるようにしましょう。同じ日程・同じ距離の引っ越しでも、業者によって値段は大きく違う可能性があります。

●仏壇輸送の専門業者も
仏壇の輸送を専門に扱う業者もあります。
当然引越業者よりも取り扱いや作法に詳しく、安心して大切な仏壇を任せることができます。

仏具のクリーニングをオプションで行ってもらえる業者もあり、引っ越しの機会に仏壇を綺麗にするのも良いでしょう。

専門業者は仏具店に相談すると紹介してもらえます。

仏壇を荷造りするときのポイント

仏壇は重く、小物もたくさんあるため荷造りの際には注意が必要です。不安な場合はすべて専門業者に任せるのも良いですが、自分でできるものは自分で行ったほうが節約になります。

●最初に写真を取る
なにはともあれ最初に元の状態を写真に撮って記録を残しておきましょう。
仏具の配置や飾り方は動かしてしまうと分からなくなります。小物の紛失・破損があった場合も写真があればすぐに気がつくことができます。

●小物類は外して梱包
仏壇本体は業者に梱包をしてもらうことになりますが、それ以外の部分は自分でも梱包できます。
仏具は壊れないようそれぞれ緩衝材で包みます。取り外せる装飾や小物類はできるだけ外し、包んだ後はなくさないようにまとめて同じ箱に入れましょう。
引き出しの中に残っているものがないかどうかもよくチェックしておきましょう。

●大切なものは自分で運ぶ
本尊や位牌などは業者に依頼せず自分で運びましょう。仏具に高価なものがある場合も同様です。

仏壇本体であれば、万が一破損や紛失があっても直したり買い替えたりできますが、本尊や位牌は替えがありません

仏壇を輸送するときのポイント

●搬出入には順番がある
仏壇を引っ越しする際には、他の家財よりも先に家を出て、先に新しい家に入るのが正式な作法です。
業者の中には作法に疎いところもあるため、気になるなら打ち合わせの際に確認しておきましょう。

●トラックには立てて乗せる
トラックの荷台に乗せる際には、横倒しにせず立てたまま乗せ、倒れないようにロープで固定します。積込み作業は業者が行うため、自分で行う必要はありませんし、まともな業者なら横にする心配はありませんが、積込みの際には気をつけて見ておくと安心です。

仏壇を処分する方法

実家の取り壊しで仏壇を処分する場合、まずは閉眼供養を行い、その後仏壇の処分に取り掛かります。

仏壇の処分は、仏具専門店や仏壇引越の専門業者、菩提寺などで請け負ってくれます。

費用は仏具一式の処分で2,000円ほど、仏壇本体の処分には大きさにも10,000円から40,000円ほどかかります。

仮住まいに仏壇の置き場所がない場合

建て替え中の仮住まいに仏壇置き場がない場合、仏壇は仏壇引越の専門業者で預かってもらえます。費用は1ヶ月あたり2,000円から5,000円ほどです。

マナーを知って安心できる仏壇引越

仏壇の引っ越しは単なる移動だけでなく、旧居を出る前と新居に着いた後、それぞれで儀式を行うのが正しい作法です。引越業者に支払う費用だけでなく、供養に来てもらうお坊さんへの支払いがあることも覚えておきましょう。